ハゲタカ
今日、世の中の人ががハゲタカと呼ぶ人たちに会った。弱った日本経済を食い物にすると評される外資系の投資ファンドの幹部である。見るものに劣等感を感じさせるような、豪華絢爛なオフィス。そして巨大なオフィススペース。50万はしそうな高級スーツを着て歩く、ハゲタカさんたちを実際に目の当たりにして、いろいろなことが頭をよぎった。
通路を通り過ぎるスタッフの顔には、どことなく緊張感が見られる。無理もない、と僕は思った。こんなすごいオフィスにいると、たった1時間いただけでも妙にストレスがたまってしまうはずだ。僕がミーティングルームで座っていた黒い革のいすも、考えるのも疲れるくらい高級である。僕は、この部屋のインテリアの総額はいくらだろう、とずっと考えていた。
お金というのは、あるところにあるものだ。高級家具のような目に見えるものや、目に見えない独特な張り詰めた空気にストレスを感じながらも、僕は今日の訪問の目的を果たすためにプレゼンをした。そして、夕方、オフィスに帰宅して一息ついている僕の元に、ハゲタカさんたちから電話があった。
「契約しよう。」
そうか、これで僕もハゲタカの肩を持つのだ、ふとそんな気持ちが頭をよぎった。仕事を取ったという達成感とともに、昼間僕に難しい質問を浴びせかけたハゲタカさんたちの顔をふと思い出した。
仕事帰り、今晩の酒のつまみにと、ちょっと無理をして、僕は高級な生ハムを買って帰った。それをむしゃむしゃと食い尽くしてやった。ちょっとしたハゲタカ気分を僕も味わってみた。生ハムはちょっとしょっぱかった。本物のハゲタカは、味がわかるのだろうか、ふと考えてしまった。
