思いがけない採用もある
自分が提案した候補者の方が、最終選考に残った3人の中で、残念ながら3番目の評価であるという話を聞いた。どう順当に考えても、この話、うまくまとまりそうもない。理由を尋ねると、業界経験が十分でないという。異業種の経験を評価したと言っていたのに、いまさら業界経験が不十分だなんて・・・。こんな話、いたるところに転がっている。
採用は優秀さの競争で決まるわけではない。この当たり前の事実が、意外に自分がその当事者になるとわかりにくい。面接官の評価に一貫性がないこと、主観的な要素が多いことはいうまでもない。現実的に存在する採用の裏舞台は、もっと生々しいものである。
前任者がXXのような人だったから、その人にどことなく似ているこの候補者は避けたほうがいい、などという判断もある。当然、前任者の評価が低いことは、新しく応募する人にはまったく関係ないこと。ただし、なんとなく前任者に似ているというだけで、この人はチャンスを逃す。似ているというのが、同じ会社の出身であるとか、下手をすると外見や話し方が似ているなどという、半ば信じられないような理由で、面接を落とされていることすらあるのだ。
次に多いのは、この人はうちの会社にあわないだろう、という種のコメントである。明確な理由がある場合はまだうなずける。過去の失敗例にケースが似ているとなれば、リスクをとりたくない採用側の心理もわかる。そうではなく、その人の身なりや、雰囲気があわないというだけで、採用を見送られるケースも少なくない。本人は、なぜ縁がなかったのか、もうひとつ腑に落ちないことだろう。
一方、思いがけない採用もある。
最初に話した事例を思い出して欲しい。3人の最終候補者の中で、自分の提案した候補者は3番目の評価だという。にもかかわらず、その候補者に意外にも早くチャンスがめぐってきたとしよう。手を返したように、採用企業はこの人物を採用したいというのだ。何が起きたのだろうか。評価が変わったわけではない。早々に、この会社は1番手と2番手の候補者を失ったのではないだろうか。評価の高い候補者であれば、他社からも同様に高い評価を得ることも不自然ではない。時間をかけて採用を進めてきた中で、いまさら採用を改めてすべてスタートすることはできない採用企業の事情もある。このように、採用の現場では、難しい状況であっても、最後の最後まであきらめてはいけないのだ。何がどう転ぶのかはわからないのだ。
ヘッドハンターなるもの、ガマン強くなければならない。
